自然素材にやすらぐ女性建築家の自邸_6
夫がリモートワークになったため、寝室の窓際にテーブル置いて仕事部屋に。
ベッドは当初、板張りの壁に頭を向けて配置されていました。造り付けの引き出しとエアコンスペースを組み合わせ、スッキリ納めています。写真中央あたりのドアはウォークインクローゼットの出入り口。
この壁は磨き漆喰という仕上げで、コテで磨き上げて艶を出してあります。ほんのりとアイボリーで大理石にも似ていますが、手仕事の柔らかさと品格が感じられます。絵をかけたりせず、壁そのものを鑑賞。シェードの角度を変えられる読書用のライトは、寝ながら操作できる場所にスイッチがあります。
スタンドライトで壁や天井を照らして間接光を得るライティングは、欧米では主流だそう。日本でポピュラーな部屋全体を明るく照らす天井付けの照明と違い、陰影が生まれてリラックスできます。ただ、老眼が進むと強い明るさがほしくなるという話は、よく聞きます。用途に沿って増やしていく感じでしょうか。
続いて洗面・脱衣室へ。造作の洗面台は人工大理石の天板が広くて、使いやすそう。カウンターの下はオープンで、広く見える効果が。足を奥まで入れられるので、楽な姿勢で立てます。よく見ると、カウンター下の奥まったところにも吊り収納が。ミラーの奥も収納棚になっており、下の壁には小物を置くのに便利なニッチが。たっぷり収納があることで、カウンター上が散らかりにくくなっています。
洗面所から家族室への見通し。引き戸を全開すると空間がつながり、光も空気もスムーズに流れます。
浴室の入口の床には大判タイルが一枚。水がかかりやすい場所なので、木の床の傷みを避けるため。左の壁に見えるバーは、こうやって洗剤を引っ掛けたり、雑巾を干したり、バスシューズをかけるのにも便利ですね。
浴室の窓の向こうには、小さな屋上庭園がつくられています。壁に囲まれた庭なので、窓を全開して露天風呂風に楽しめます。ここからしか出入りできませんが、いったん植栽が落ち着けばお手入れはさほど必要なく、問題なしとのこと。水やりは簡単そう。
腰から上の壁と天井は、サワラ縁甲板張り。裸になって過ごす場所だからこそ、内装材に有機的なものを使うとリラックスできます。
最後にご紹介するのは、和室。ほかの部屋とは雰囲気がガラリと変わり、気分転換にいい場所です。壁は「半田土塗り壁」。漆喰を塗る途中の「下地」の段階で、意図してとどめているそうです。荒々しい質感ですが、強度はあるのだそう。下一列には和紙が貼られています。茶室に用いられる意匠で、土壁に衣服が当たるのを防止する意味あいがあるそうです。建築の設計には、広い知識が求められるのですね。
天井はガマ貼り。和紙のシェードがシンプルな壁付け照明。スイッチプレートも木製で、徹底して統一感を出しています。
窓からは玄関前の庭を見下ろせます。正面に立てられた壁が効いていてプライベート感があり、旅館にでも遊びに来たような気持ちになれそうです。家の中に非日常を感じられる場所があると、心のゆとりにつながるのではないでしょうか。
これで、建築家・熊澤安子さんの自邸の紹介は終わりです。
内外の仕上げ・設備等の詳細は1回目のレポートの最後に記載してあります。
この家を以下の動画でもご覧いただけます。ていねいに設計・施工された心地よい空間を、よりリアルに疑似体験してください。2階部分は 8:27〜
熊澤安子建築設計室のHPもぜひ。すてきな住宅がたくさん掲載されています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
このブログでは、筆者が「いいな〜!」と思った住宅を、少しずつご紹介していきます。以後もお楽しみに!
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