新築住宅のオープンハウス訪問_デザインライフ青木律典さん
5月某日、新築住宅のオープンハウス(内覧会)にうかがいました。建築設計事務所が主催する場合、不特定多数の人に開放するケースより、関係者に案内を送り参観者を募るケースが多いです。建築家さんに住宅設計の依頼を考えているなら、連絡をとってオープンハウスに足を運んでみてください。ていねいに説明してくれますし、実体験にまさる情報はありません。
今回は、デザインライフ設計室 青木律典さん設計の住宅。敷地は、まわりをぴっちり住宅に囲まれた旗竿型で、110㎡のうちの何割かが路地部分に割かれるため、建てられる面積は小さくなります。下の写真が路地の奥に見える外観。足下が浮いて、高床になっているのはなぜかな。
2階まで届く高窓が開放感と明るさをもたらします。窓に付けられた木枠の縦ラインが、垂直方向の流れを強めています。
廊下の引き戸を開けると、子ども部屋の床が低くなっていてびっくり。将来真ん中でふた部屋に分けたり、天井の高さを利用してロフトをかけたりすることもできます。腰板張りは、コンクリートの基礎部分。上階で眺望を得るため通常より基礎を高くしており、床下空間の一部を部屋として利用しています。外観で足元が浮いていたのは、基礎部分が大きく見えるのを避け、軽やかに見せるためだったのか。
子ども部屋から玄関方向を見たところ。腰板と可動式の階段は構造用合板。2つの階段が向かい合わせに置かれていますが、部屋を分けたらバラして、それぞれ違う方向に置くこともできます。
洗面所。やはり造作のカウンターはすてきです。既製品にもいいデザインのものは増えてきていますが、造作にコストをかける価値がある場所だなぁと、個人的には思います。
2階のLDKに向かう途中、階段を上がりかけて玄関を振り返ったところ。壁も階段も構造用合板。壁の方は、薄く白いペイントを施して木目を落ち着かせてあります。
階段を登りきるとLDKが開けます。ルーバー越しの光が美しい〜!その下は、スクリーンで仕切られているけれど、どうなっているのかな? テーブルの右側がリビング、テーブルの左奥がキッチンです。
手すり壁の笠木に注目!かまぼこ型で壁と同色にペイントしてあります。吹き抜け空間とのなだらかなつながりをつくるため。
リビングからダイニング方向を見たところ。ダイニングとリビングをあわせても10畳ほどと、面積は限られていますが、吹き抜けや窓の向こうまで視線がのびるので、広がりを感じます。傾斜天井で高さに変化があるのも、広く感じる要因のひとつ。
窓の外には木が植えられています。お隣の外壁が黒いので、緑が映えますね。数年後には枝が伸びて、緑が窓をすっかり覆うかもしれません。
先ほど気になったスクリーンは折戸式で、全開放も可能。開けると「サンルーム」と名付けられた小部屋がありました。サンルームといっても室内ですが、床材も針葉樹に切り替わり、少しラフな雰囲気。明るい場所なので、観葉植物を置くのもよさそうです。
こちらはダイニングから見えるキッチンの景。セパレートタイプのキッチンですね。間にあるカウンターが配膳に便利そう。ロフトに上がるためのはしごが見えます。
すっきりしていて使いやすそうなキッチン。シンクのかたちがシンプルで掃除しやすそうだな〜と、ついつい実用性を考えてしまいます(^_^;)
2階には小さな書斎と納戸もあります。デスクの奥の暗がりが納戸。引き戸を閉めれば、リモートワークも落ち着いてできそう。デスク背面には造り付けの書棚もあります。
デスク前の横長窓から、リビングやダイニング、その奥のキッチンの様子が見え、明り採りにもなっています。
写真はここまで。旗竿地で面積にゆとりがなく、まわりに家々が迫り建つ環境は、設計条件としてかなり厳しいものだったのでは、と想像します。その中で、最低限の機能だけではなく、空間の広がりや採光、植栽、外観の美しさまで実現し、魅力的な住環境を生み出すことは、やはり緻密な設計による現場製作でしかなし得ないだろう、と感じました。青木さん、ありがとうございました。
デザインライフ設計室/青木律典さんのHPはこちらです。
いつか青木さんの設計された住宅を、以下のルームツアー動画チャンネル ↓でもご紹介させていただきたいな〜と夢が膨らみました。建築家さんの設計した住宅の素晴らしさを写真より立体的に疑似体験できるのが動画のいいところ。いつの日か願いが叶いますように…!
お読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!
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