夫婦はどこで寝るの?問題は、問題ではない

私のルームツアー動画に付く海外からのコメントで、たまに見かけるのが「夫婦はどこで寝るの?」です。ここに日本の家族や夫婦のあり方と、海外のそれとのギャップが現れているなあと、面白く眺めています。英語で説明するのが苦手でほとんど返信できないけど。


日本では、子どもが小さいうちは添い寝が基本。ベッドで家族全員川の字とか、母子が一緒で夫が別室というパターンも多いです。それを正面から説明したら、いろんな国の人がドン引きするかもしれないなと思います。夫婦を一番大事にする、という考え方は日本では希薄だし、「赤ちゃんのうちから別室で自立心を育む」などという根拠不明な育児法もない。

だから日本では子ども部屋や夫婦の寝室の考え方もファジーで、家族の成長や変化に合わせて部屋の使い方が組み変わったりする。特に建築家が柔軟な発想で設計した住宅には「マスターベッドルーム」などと夫婦のあり方を象徴し限定するような部屋はない場合も多く、単に「居室1,2,3」と並列されていたり、「だって寝るだけだし」とむしろ一番小さい部屋が主寝室だったり。限られた面積の中で何を優先し何を融通するか、突き詰めていったときにあぶり出される、文化のひとつだと思っています。

さて、上の写真はまさに「ベッドだけでいっぱいになる部屋」をつくったマンションリノベーションの例。ただ今動画を編集中のお宅です。設計は、グローバルに活躍する新進気鋭の建築家夫妻、大小建築設計事務所さんです。詳細は動画公開の折にでもご紹介しますので、今日はここまでに。

住まい逍遥

住宅・ライフスタイルをメインフィールドとして活動するフリーライターの松川絵里が、憧れや共感、好奇心を掻き立てられるスタイリッシュな住宅を、取材・レポートします。動画で美しい空間やライフスタイルを疑似体験するルームツアー・チャンネル「Cozy Houses in JAPAN」を運営。 https://www.youtube.com/c/CozyHousesinJAPAN_housetours