動画公開_阿部勤さん設計の緑の海に浮かぶ小屋
今回のルームツアー動画は、建築家・阿部勤さんの遺作となった小さな木造住宅です。
「小屋」と呼びたくなるようなこの愛らしい住まいは、あるシニア世代のご夫婦のセカンドハウスで、「とんでもなく」見晴らしの良い丘陵地に建っています。
元々ご主人のお父さまが建てた古い別荘があったそうです。研究者であったお父さまは、週末ごとにこの地に滞在して研究や論文作成に勤しまれていたそうです。
亡くなったあとは訪れる人もなく藪が茂り放題でしたが、大きな台風の際に倒木や雨漏りなどの問題が出て見過ごせない状況に。苦労して木や藪を切り払うと、記憶していた以上の素晴らしい景色が開け、このロケーションを生かさない手はないと思い至ったとか。既知であった建築家の阿部勤さんに相談し、既存のコンクリート土台を生かして建て替えることになりました。
↓ 絶景を生かした開放的なダイニングコーナー。窓の向こうに見えているテラスの手すりは既存の再利用です。
↓ 2/3はモルタルの土間で、薪ストーブが置かれています。奥1/3が板張りの小上がりになっているなど、違った居心地のコーナーが複数設えられています。左奥のデイベッドと間仕切り、ダイニングテーブルはご主人の作。
↓ 小屋はワンルームLDK+ロフトの寝室という構成。至って素朴な空間を満たしているのは、ご主人の手になる数々の造作家具と、奥さまセレクトのものたち。ソファはご主人のDIYと奥さまのソーイングを結集して作られたもの。テーブルも自作です。
↓ とにかく「とんでもなく」クリエイティブなご夫婦で、奥さまは数々のお料理も何気なくこなしてしまいます。取材の際も次から次へと美味しいお料理からデザートまでごちそうになりました。テラスにセッテイングされたテーブルで、空気もお料理も美味しいためいつも以上に食が進んでしまい、本当にお腹がパンパンになるまでいただきました。
写真はキッチンでピザ生地をつくっている奥さま。「将来はここで気まぐれなカフェでもやったら楽しいかも」と構想が膨らんでいるとか。名物カフェになるに違いありません……!
動画では、快適なテラスの様子や、ご主人がテラスに築いたピザ窯でピザを焼く様子も捉えています。心からリラックスできた取材で、幸せな気持ちを反芻しながら編集作業を行いました。ぜひご覧いただけましたら幸いです。
残念ながら阿部さんは完成を目にすることはかないませんでした。このイキイキとした空間をご覧になったら、さぞ喜ばれたことと思います。
住まい手のMさん、図面提供などでご協力いただきました元スタッフの瀬川さん、本当にありがとうございました!ぜひまた遊びに行かせてくださいね。
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