新作動画公開。真砂秀朗さんと三千代さんの家・暮らし・仕事。

新作動画、やっと公開です。前作からいつの間にか1ヶ月以上が経ってしまいました。撮影済みの動画は溜まる一方で、焦る気持ちはあれど編集作業の時間が取れず。お庭の草木が寂しくなる12〜4月いっぱいくらいまでは、庭付き住宅の撮影には不向きなので、撮影だけは頑張って進めましたが、なかなか編集までたどり着けませんでした。

今回の動画は、チャンネル内に新たに立ち上げたカテゴリー「クリエイターの家」の第1作めです。住まい手は、アーティストでネイティブフルート奏者の真砂秀朗さん、服飾デザイナーの真砂三千代さん夫妻。この家に30年前から暮らしながら、自分たちで何度も手を加え、生活と仕事の場としてなじませてきました。

建物は、約80年前、世界的建築家フランク・ロイド・ライトの愛弟子、遠藤新が設計した葉山の別荘です。動画には全体の外観が載せられませんでしたので、ここに。歴代の住人によって様々な手が加えられてきており、間取りも一部変更されていますが、メイン空間のリビングにはオリジナルが色濃く残されています。

入居当時、真砂さんは遠藤新の名も知らず、由緒ある別荘建築だという認識はなかったそう。建築関係者が見学させてほしいと訪ねてきて、初めて知ったのだとか。

元々ほどこされていたリフォーム部分を剥がしながら、創建時の建築的魅力を再発見していったそうです。そして数年前、地域に開かれたアートサロンとしても活用していこうと、建築家や職人など専門家の手を借りて、本格的なリノベーションを行いました。原設計をリスペクトしつつ、大胆に自分たちの好みを盛り込んだ部分も。

このあたりの詳細は、雑誌『住む。』77号に書かせていただきましたので、よろしかったらご覧ください。

元々の建築がもつ魅力に時が磨きをかけ、住まい手の感性が融合されて、重層的・多面的な魅力が生まれました。三千代さんが天然素材でつくる茶人のための衣装や日常着の美しさが、建物の経年美と合わさって、唯一無二の空間を紡ぎ出しています。下の写真は、リビングでくつろぐ三千代さん。とても自然体で、すてきな方。手前には茶人のためにつくった衣装が見えています。

三千代さんのHPは以下に。時折百貨店などで個展を開催されているようで、先日も松屋銀座での個展を拝見しました。

以下は日常着をラインナップした別のお店で、動画の最後に店舗の様子をご紹介しています。

三千代さんには、海外の中国茶の茶人からのオファーが多く、その影響でおふたりとも数年前から中国茶を日常的にも楽しんでいらっしゃいます。今回のリノベーションでは、ダイニングキッチンに茶器を飾る棚を新設しました。

上の写真で土壁の表面に見えているのはワラで、秀朗さんが自分で耕作している棚田でできた稲わらです。放棄されていた古い棚田を再生した田んぼで、不耕起・不施肥・冬期冠水というやりかた。毎年豊かな稔りがあり、自分たちが食べる分を賄っているそうです。自然農による稲作の様子を綴った以下の本は、私自身が自然農の家庭菜園をしていた経験から、共感できる部分が多く、とても癒やされる内容でした。

秀朗さんは、デザイナーでもあり、絵描きでもあり、書の作品もあり、ネイティブフルートを奏でて楽曲制作も。本当にマルチプレイヤーという感じの方。表現に垣根を設けず多彩に活動していらっしゃいます。

いつもは動画に著作権フリーの音源をBGMに使わせていただいていますが、今回のBGMは、秀朗さんのインディーズレーベルAWAの楽曲を直接ご提供いただきました。美しい音色に癒やされながらの編集作業は夢心地で、いつもとはひと味違う快感に浸ることができました。真砂さん、ありがとうございます!

最後に、この家の存在を教えてくださったのは、改修設計に携わられた建築設計事務所 アンドウ・アトリエさんです。良い出会いをいただき、感謝申し上げます。いつかチャンスがあれば、アンドウ・アトリエさんが設計された住宅も動画に収めてみたいと夢見ています。


今の季節「秋〜冬」にふさわしい動画も用意しています。春になる前に公開しないといけませんね(汗 これから編集をがんばりますので、お楽しみに〜!


最後までお読みいただきありがとうございました。

住まい逍遥

住宅・ライフスタイルをメインフィールドとして活動するフリーライターの松川絵里が、憧れや共感、好奇心を掻き立てられるスタイリッシュな住宅を、取材・レポートします。動画で美しい空間やライフスタイルを疑似体験するルームツアー・チャンネル「Cozy Houses in JAPAN」を運営。 https://www.youtube.com/c/CozyHousesinJAPAN_housetours